週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は先週比9.28ドル安の82.51ドル、ブレント原油は10.85ドル安の84.20ドルとなった。

 前週末の海外原油は四半期末の手じまい売りで続落。EIAの発表で7月の米原油生産量が日量1299.1万Bと2019年11月の1300万Bに次ぐ過去2番目の高水準になり圧迫要因となった。また、米国のつなぎ予算が可決せず一部政府機関が閉鎖する可能性が高まったことも手仕舞い売りを促した。

 週明け2日は続落。イラク北部からトルコへ通じるパイプラインが6ヶ月ぶりに稼働再開する見通しとなったことが重しとなった。さらに、米長期債利回りが一時4.70%まで上昇しドル高が進行したことも上値を抑える要因となった。3日は調整安が一服し反発。米週間石油在庫統計では原油在庫は減少予想、4日のOPECプラスのJMMCでは現状の生産枠が継続すると見られており年末にかけて供給不足が続く懸念が相場を支えた。4日はWTI、ブレントとも5ドルを超える急反落。金融市場が不安定な中、米ガソリン在庫の急増で需給引き締まり観測が後退し右肩下がりの下げ局面となった。EIAの週報ではガソリン在庫が648.1万B増と予想外の大幅増となり、石油製品需要も日量1915.7万Bと節目の2000万Bを下回った。また、ロシアが先月導入した燃料輸出禁止措置を近く緩和すると報じられたことも相場下押し要因となった。翌5日も需要下振れ懸念から続落。主要国の国債利回り上昇が続く中、前日の米ADPの雇用報告や米ISMのサービス業PMIが低調な結果となったことから景気減速懸念が広がっており、6日の米雇用統計を控えポジション調整の流れは変わらず一段安となった。

NY原油チャート

 今週の原油相場は暴落後の水準固めを模索する展開が想定される。WTIは9月28日の一代高値95.03ドルから1週間で13ドル近くもの急落となっている。供給不足を囃した上昇局面は一巡し、米金利の急上昇を受けた需要後退懸念が再び弱材料視された格好だ。米長期債の利回りは4日に4.884%まで上昇したが、直近は4.7000%前後まで低下しており上げ一服感が出ている。原油市場に先んじて調整安局面となったNYダウも33000ドル割れからは自律反発局面となっており原油市場も底入れ場面が近いとみる。WTIの200日移動平均線は9月前半より上昇トレンドに転じており仮に80ドルの大台割れがあっても一時的で良い買い場になると予想される。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。