週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比1.60ドル高の91.79ドル、ブレント原油は1.33ドル高の95.05ドルとなった。

 前週末の海外原油はロシアによる燃料輸出禁止で供給懸念が高まったことは支えとなった一方、米利上げ継続による石油需要の減少懸念が重しとなる中で強弱まちまちな展開となった。

 先週は引き続き米利上げへの懸念は重しとなった一方、米原油在庫が低水準となっているほか、需給ひっ迫感などが支えとなり堅調な推移となった。週明けは対ユーロでドル高進行したことが重しとなったほか、ロシアが船舶燃料など一部の油種の輸出制限を緩和し、供給懸念が後退したことが重しとなり軟調な推移となった。翌26日は真新しい材料はなかったものの、OPECプラスの減産で供給がタイト化しているほか、米原油在庫の減少予想などが支えとなり堅調な推移となった。翌27日にかけても供給ひっ迫懸念が材料視されたほか、EIA統計において原油在庫が減少し、今年の最低水準を更新したことなどが支えとなった。また、原油需要が節目の2000万Bを上回ったことも好感された。週末にかけては月末、四半期末を控えて利益確定の売りが広がったほか、原油高を背景にインフレ懸念が再び強まっており、米追加利上げへの警戒感が広がっていることも重しとなった。

原油チャート

 今週の原油相場は売り一巡後に再度高値を目指す展開が想定されそうか。足元の米石油需要が堅調に推移している一方、WTIの受渡場所であるクッシング在庫が減少傾向にあり、受渡機能が低下すれば供給ひっ迫懸念が高まり、相場の支えとなりそうだ。米金利の上昇で保管コストが上がっていることから輸出志向が強まっており、原油在庫の減少は今後も続くとみられている。また、中国が国慶節で連休に入り、石油需要の増加が見込まれることも支えとなりそうであり、WTIベースで短期的に100ドルをつける場面があってもおかしくはなさそうか。一方で引き続き追加米利上げへの警戒感は重しとなりそうなほか、米国では与野党の対立から新年度予算が成立せず、米政府機関の一部閉鎖が懸念されていることは圧迫材料となりそうだ。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。