週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比4.41ドル高の90.80ドル、ブレント原油は4.76ドル高の94.32ドルとなった。

 前週末の海外原油は反発。オーストラリアのLNG施設2か所で8日午後からストライキが開始され天然ガス相場が上昇したことが原油の支援要因となった。

 週明け11日は世界的な景気悪化懸念から小反落。最近の原油高から金融引き締め強化のリスクから上値が抑えられる形となった。ただ、暴風雨「ダニエル」の悪天候や洪水被害でリビア東部の輸出港が閉鎖され供給が一時的に下振れする公算から下値は限定的となった。12日は原油の供給懸念から反発。OPECの月報で今年第4四半期の世界石油需給が日量330万Bの供給不足になる見込みされたことから右肩上がりの展開で直近の戻り高値を更新した。翌13日は利益確定の売りにより小幅反落。前日のOPEC月報に続きIEAの月報でも10-12月期まで大幅な供給不足が続く見通しが示されたが、EIAの週報で原油、製品の在庫が増加したことが重しとなり利益確定の売りが優勢となった。EIA統計は米原油在庫は+395.5万B、ガソリンは+556.1万B、留出油は+393.1万B、原油生産は日量1290万Bと2020年以来の高水準を更新した。14日は反発、WTIは昨年11月以来の90ドルの大台を突破した。中国が0.25%の利下げを発表し景気対策を継続、ECBの理事会では予想通りの0.25%の利上げとなったが利上げ打ち止めを示唆したことから景気悪化懸念が後退した。またリビアの洪水で日量50~70万Bの輸出減少が予想されていることも支援要因となった。

原油チャート

 今週の原油相場は高値警戒感から売り圧力が強まるも一時的な動きとなる可能性が高いと予想される。先週のサウジとロシアの自主減産・輸出削減が年末まで延長されたことに加え今週はOPECの月報で10-12月期の世界石油需給が日量330万Bの供給不足になる見込みとされ上値を伸ばした。これまで上値を抑えていた景気悪化懸念も米国の堅調な経済指標や中国の継続的な景気刺激策により後退している。チャート的にはWTIは一代の高値更新しており次のターゲットはつなぎ足ベースとなるが昨年11月の93.74ドル辺りが想定されるが目先は90ドル台を維持できるか否かが注目される。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。