週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比4.38ドル高の83.79ドル、ブレント原油は3.33ドル高の87.04ドルとなった。

 前週末の海外原油は続伸。米国内の製品在庫が低水準で推移するなか、夏場が終了したあとの定期改修シーズンが迫っていることが供給不足を警戒させた。また、米ルイジアナ州の製油所で火災が発生したことも支援要因となった。

 先週は、米国の原油在庫の減少を手掛かりに堅調な推移となった。週明け28日は小幅続伸。米追加利上げへの警戒感が上値を抑えているものの、熱帯低気圧「イダリア」がハリケーンに発達し、30日には米南部フロリダ州に上陸するとみられていることや、サウジが10月も日量100万Bに自主減産を継続する可能性が高いことが支えとなった。29日は続伸。7月の米求人件数や8月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数が弱い内容となったことが追加利上げ観測を後退させた。また、EIA統計で原油在庫の取り崩しが続く見通しであることも支援要因となった。30日も続伸。APIやEIA統計で原油在庫の大幅取り崩しが示されたことが相場を押し上げた。ただ、ADP雇用統計が市場予想を下回ったことで米国の景気先行きに不透明感が広がっていることは上値を抑える要因となっている。31日は続伸。ロシアが10月も輸出を削減することでOPECプラスと合意したとブルームバーグが伝えたことが要因。一方で中国の8月製造業PMIが49.7と節目の50を5カ月連続で下回ったことは、やや上値を抑えた模様。

原油チャート

 今週の原油相場は前回安値を超えて90ドルを目指す展開となるか。EIA統計での原油在庫の減少が続くなか、ロシアが10月も輸出を削減する見通しであることが引き続き支えとなるだろう。また、サウジも協調する可能性が高いと思われ、需給引き締まりがさらに意識される格好となりそうだ。中国や主要国の景気見通しが不透明であることは重しとなる可能性もあるが、実際にサウジやロシアの減産・輸出削減延長が決まると買い安心感が広がると思われる。米雇用統計が予想外に弱い内容となると景気不安から売られる展開も想定されるが、突っ込んだ場面では押し目買いを検討してはどうか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。