週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比1.24ドル安の79.41ドル、ブレント原油は0.54ドル安の83.71ドルとなった。

 前週末の海外原油はドル高一服を受け続伸。また、米稼働リグ数が前週比5基減の520基と6週連続の減少となったことも買い戻しを促す流れとなった。

 週明け21日は中国経済の失速懸念から反落。中国人民銀行が1年物LPRを引き上げたものの市場予想より小幅で、5年物LPRを据え置いたことから失望売りで相場を圧迫した。22日は引き続き中国経済の悪化懸念から続落。24日から始まるジャクソンホール会議を控え、米国の利上げ継続が警戒されており上値の重い動きとなった。翌23日は主要国のPMI悪化で続落。8月のユーロ圏非製造業PMIは48.3まで低下、昨年12月以来の節目となる50を下回った。ただ、EIA統計で米原油在庫は613.4万B減、石油製品需要も4週平均で日量2089.4万Bと年初来の最高水準を維持しており、安値からは大きく買い戻される動きとなった。24日は小反発も方向感のない動き。ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を控え年内の米追加利上げの見通しに市場関係者は疑心暗鬼の状態で持ち高調整の動きとなった。

原油チャート

 今週の原油相場はWTIで引き続き80ドルを巡る動きが予想される。今週の下落局面では米中に加えユーロ圏やドイツの非製造業PMIが悪化したことが弱材料視された。PMIはGDPに先行する指標といわれており、利上げ打ち止め観測が強まるか注目される。一方、需給面ではEIAの週報では米原油在庫は613.4万B減、製品需要も堅調を維持しておりており弱気にはなりにくい内容となっている。加えてサウジアラビアがBRICSに加盟するとのニュースはOPECプラスの強化の側面もあるとみられ、原油相場には支援要因になると予想される。目先はWTIで200日移動平均の76ドル台を下値の目途として押し目は買い方針で臨みたい。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。