週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比3.73ドル安の80.65ドル、ブレント原油は3.31ドル安の84.25ドルとなった。

 前週末の海外原油は需給引き締まり観測が広がる中で買い集まり、反発した。IEAが11日公表した月報でOPECプラスによる減産により23年内に在庫が減少し、価格が一段と上昇する可能性があると指摘、需給の引き締まり観測が強まった。

 週明け14-15日にかけて、中国経済失速への警戒間の高まりから下落が続いた。15日発表の7月の中国経済指標は軒並み悪化。小売売上高の伸びが鈍化したほか、不動産開発投資や鉱工業生産の増加率も前月を下回った。16日には、EIA週報によると、米原油生産量は新型コロナウイルス危機が拡大する2020年3月以来の水準を回復したものの、在庫は市場予想に比べて大幅なマイナスを記録し、一方ガソリン在庫の取り崩しは予想より小幅にとどまったため、レンジでの値動きが続いた。その後、FOMC議事要旨で、引き続きインフレに「大幅な上振れリスク」があり、一段の利上げが必要になる可能性があるとみていることが明らかになると、利上げ長期化に伴う景気やエネルギー商品需要の冷え込みを懸念した売りが膨らんだ。17日は4営業日ぶり反発となる。中国の景気悪化が懸念されるなか、中国当局が景気対策や人民元買い介入を示唆したことから買い戻しが促される流れとなり、また、対ユーロでドル安進行したこともドル建て商品の割安感につながり原油が買われた模様だ。

原油チャート

 今週の原油相場はWTIベースで80ドルを割り込む展開が想定されそうか。鉱工業生産など中国の経済指標が低調だったほか、中国不動産大手の中国恒大集団がNYの裁判所に破産申請するなど不動産業界の低迷ぶりが表面化しており、エネルギー需要の減少が警戒されている。また、FOMC議事要旨において追加利上げの必要性が示唆されたことから利上げへの懸念が再燃しており、ドル高進行していることも重しとなりそうだ。25日にはジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演も控えており、追加利上げへの警戒感が高まればさらに下値を試す展開も想定しておきたいところか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。