週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比1.70ドル高の81.64ドル、ブレント原油は1.13ドル高の85.17ドルとなった。

 前週末の海外原油は株高や米国での熱波の影響でガス価格が上昇したことから原油もつれ高となった。また、米4-6月期GDPが予想を上回ったことからリスクオンムードが強まったことも買い材料となった。

 先週は需給の引き締まり観測が支えとなる中で堅調な推移が続いた。週明けはサウジが日量100万Bの自主減産を9月まで延長する可能性があると伝わったことが支えとなり堅調な推移となった。また、ゴールドマンサックスが7月の世界の石油需要が過去最高の1億280万Bに達したと指摘したほか、今年下半期の世界石油の供給不足が日量180万Bになる見通しと伝えたことも好感された。翌1日は米長期金利の上昇からドル高進行したことが重しとなったほか、米国や中国の経済指標が悪化したことが嫌気され軟調な推移となった。一方でAPI統計において原油在庫が大幅減少したことから押し目を買われると、東京時間にかけてはプラスサイドまで値を戻す格好となった。翌2日は米格付け会社・フィッチ・レーティングスが米長期債の格付けを最上級の「AAA」から引き下げたことでリスクオフムードが強まり、ダウが急落したことなどが重しとなった。EIA統計では原油在庫が1700万B減と大幅に取り崩しとなったほか、石油製品需要が2週連続で節目の2000万Bを上回るなど堅調だったが、材料視されなかった。週末にかけては前日のEIA統計の結果が取り沙汰されたほか、サウジが日量100万Bの自主減産を9月も継続すると発表したことが支えとなり堅調な推移となった。

原油チャート

 今週の原油相場は引き続き底堅い推移が想定されそうか。OPECプラス会合においてサウジが現在実施している日量100万Bの自主減産を9月も行うと表明し、9月以降も減産を続ける可能性を匂わせたほか、ロシアも9月の原油輸出を日量30万B削減すると発表した。また、米国の石油製品需要が2週連続で2000万Bを上回るなど需要の堅調さが示されたことも支えとなっている。テクニカル的にはWTIベースで83ドル台の抵抗が強いが、ここを上抜けられれば節目の85ドルも見えてくる展開が想定されそうだ。一方で米格付け会社が米長期債の格下げを行ったことでリスクオフムードが強まっており、株式相場が弱気となれば原油もつれ安となる可能性は見ておきたいところか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。