週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.58ドル高の79.94ドル、ブレント原油は3.68ドル高の84.04ドルとなった。

 前週末の海外原油は続伸。ウクライナ情勢の悪化などを背景とした需給逼迫懸念に加え、中国当局による電子機器と自動車を対象とした販売促進策を発表したことから中国経済回復期待が高まり原油相場が押し上げられた。

 週明け24日も続伸、原油需給引き締まり観測や、抵抗となっていた200日移動平均線を上抜いたことから買い戻しが加速した。25日は4営業日連続の上げ、中国が不動産分野の支援を軸とした内需拡大策を打ち出す構えを示したことから中国株が堅調となり原油に買いが波及する流れとなった。翌26日は反落、EIA統計で米原油在庫は-60万Bと予想を下回る減少、ガソリンやジェット燃料の減少幅も予想を下回り季節的な需要が高まってないことから売り物優勢となった。この日、FRBは0.25%の追加利上げを決定、パウエル議長が今後の追加利上げの可能性を排除しなかったことから景気後退懸念が燻り、原油の上値を抑えた。27日は米国の堅調な経済指標を受け反発。4-6月米GDP速報値は+2.4%と予想に反して加速、新規失業保険申請件数も7000件減少し経済のソフトランディングへの期待が広がり原油相場を押し上げた。

原油チャート

 今週の原油相場はボックス圏上抜けの可能性も視野に入る展開か。WTIは3ヵ月ぶりに80ドル台乗せとなり、これまで強力な上値抵抗となっていた200日移動平均線を上抜いた。テクニカル的には強気相場入りとなり目先は4月12日の83.53ドルがターゲットになる。現状は金融市場の景気後退懸念が幾分和らいだことから買い戻し主導の相場展開となっているが、需給面で協調減産に緩みが出るようだと流れが変わる可能性は否定できない。8月4日のOPECプラスの会合では価格も上昇し、既に500万B以上の減産をしていることから過去2回のようなサプライズはないとみられる。目先は高値圏でもみ合いが続いている主要国の株価の動向を注視しながら買い場探しの流れが想定される。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。