週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比4.56ドル高の76.71ドル、ブレント原油は4.24ドル高の81.12ドルとなった。

 前週末の海外原油は上昇。米雇用統計が予想を下回る弱い数字となったことで利上げ観測がやや後退し、ドル安、リスクオンの動きとなり上げ幅を拡大する格好となった。

 週明け10日は反落。12日の米消費者物価指数の発表を控えて、米アトランタ連銀総裁やサンフランシスコ連銀総裁などが追加利上げの可能性に言及していることから、金融引き締めへの警戒感が重しとなった。一方で、北半球の夏場の需要拡大期待やOPECプラスの減産による需給引き締まり期待は下値を支えた模様。11日は反発。米CPIの発表を前に、ポジション調整の動きからドル安が進んだことが相場を押し上げた。また、米国株が堅調に推移したほか、米国内の製品需要が好調であることも支援要因となった。12日は続伸。米6月CPIが市場予想を下回ったことから追加利上げ観測が後退し、米景気悪化懸念が和らいだことが相場を押し上げた。ただ、EIA週報で原油在庫が予想を上回る積み増しとなったことや、ガソリン在庫が横ばいとなったことは上値を抑える要因となっている。13日は続伸。米6月PPIにおいても予想を下回る内容となったことでインフレ鈍化が示され、ドル安に振れたことが相場を押し上げた。またOPEC月報で今年の世界の石油需要見通しが上方修正されたことや、リビアで抗議活動によりシャララ油田が停止する見通しであることも支援要因となった。

原油チャート

 今週の原油相場はWTIで80ドルを目指す展開となるか。サウジの減産やロシアの輸出削減などから需給ひっ迫が意識されるなか、今週の米経済指標の結果を受けて利上げ長期化による景気悪化懸念が和らいだことが追い風となりそうだ。米長期金利の低下やドル安も支援要因となり、WTIで75ドルの抵抗を上抜ける格好となっている。高値では利食い売りも出やすくなると思われるが、OPEC月報でも需給引き締まりが示されたほか、リビアの油田停止から堅調地合いに変わりはなく、押し目買いが有効となりそうだ。予想レンジはWTIで75~83ドルといったところか。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。