週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比2.39ドル高の72.15ドル、ブレント原油は2.54ドル高の76.88ドルとなった。

 前週末の海外原油は続伸。FRBがインフレ指標として重視する米PCEでコア指数が前月比+4.6%と伸びが鈍化したことから利上げ長期化観測が後退しドル指数が低下。ドル建てのエネルギー商品の割安感が強まり買い意欲が高まった。

 週明け3日は反落。サウジアラビアが7月に開始した日量100万Bの自主減産を8月も継続する方針を表明、ロシアも8月の原油輸出を50万B削減すると発表したことからアジア時間では買いが先行したが、米ISMが発表した6月のPMIは46.0と2020年5月以来の低水準を更新したことから主要国の景気悪化懸念が広がり売り優勢の流れとなった。4日は米国市場が独立記念日で休場の中、サウジ、ロシアの自主減産により需給引き締まり観測が見直される形でブレント原油は反発した。翌5日は堅調。サウジのエネルギー相が石油市場を支援するために何でも行うと発言したことやイランがホルムズ海峡で2隻のタンカーを拿捕しようとしたとの報道から地政学リスクが高まった。6日は売り買い交錯。米ADP雇用者数は前月比49.7万人増、米ISM非製造業景気指数は53.9と強含んだことから米追加利上げ観測が強まり相場を圧迫したが、EIAの週報で石油製品需要が日量2123万Bと今年の最高水準を更新したことから安値からは買い戻される展開となった。

原油チャート

 今週の原油相場は、原油需給要因は強いものの引き続き金融市場からの売り圧力に上値を抑えられる展開か。3日にサウジアラビアが7月からの日量100万Bの自主減産を8月も継続することを表明、ロシアのノバク副首相も8月に日量50万Bの原油輸出削減を明らかにしたことから需給のタイト感は強まっている。ただ、今月25~26日のFOMCでの利上げの可能性が高いことから景気後退懸念も根強く、しばらくは一進一退の動きが続きそうだ。今週13日にはOPEC月報とIEA月報の発表が控えており目先の大きく動く要因となる可能性があることは考慮に入れるべきだろう。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。