週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.75ドル安の75.18ドル、ブレント原油は1.74ドル安の78.93ドルとなった。

 前週末の海外原油は米利上げへの懸念が重しとなった一方、4月のユーロ圏の総合購買担当者景気指数54.4と11カ月ぶりの高水準となったことから景気後退懸念が緩和し堅調な推移となった。

 週明けは、中国の労働節(メーデー)連休を控える中で石油需要の増加期待が高まったほか、ECBによる利上げへの警戒感から対ユーロでドル安進行したことが支えとなり堅調な推移となった。その後もイラクのクルド人自治区からの輸出停止が長期化する可能性があると伝わったことが支えとなり上げ幅を拡大する展開となった。25日は米消費者信頼感指数が9か月ぶりの低水準となったほか、ファースト・リバブリック銀行から1000億超の預金が流出したと伝わったことから銀行不安が再燃し、景気悪化懸念が強まったことが重しとなった。東京時間では買い戻しの動きから反発すると、API統計において原油在庫が予想以上に減少していたことが支えとなり堅調な推移となった。26日は米経済指標の悪化や金融不安から景気後退懸念が強まったことが重しとなり続落する格好となった一方で、EIA統計において原油在庫が予想以上に減少していたことで下値は支えられた印象。27日は前日までの下落を受けて買い戻しが入ると、イランがオマーン湾でマーシャル諸島船籍の石油タンカーを拿捕したと伝わり、地政学リスクが意識されたことが支えとなった。その後も堅調な推移が続き、株高進行したことなどが支えとなり上げ幅を拡大する展開となった。

NY原油チャート

 今週の原油相場は、現状もみ合い~やや上方向の動きが想定される。通常月初に開催されているOPECプラス閣僚級会合が5月は実施されず6月月初に開催予定、イベントとして3日のFOMC声明文公表や5日の米雇用統計などに注目が必要だ。27日にイランがオマーン湾の公海上で米石油メジャー、シェブロンがチャーターした石油タンカーを拿捕したことが報じられている。WTIは、半値押しの水準をほぼ達成しその後戻しているが、この半値押しで底入れするのか否か、この半値押し水準も割り込むようであれば次は72ドル前後が下値メドとなる。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。