週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.76ドル高の82.46ドル、ブレント原油は1.21ドル高の86.33ドルとなった。

 前週末の海外原油は休場。

 先週は次回FOMCでの利上げを最後に金融引き締めが終了するとの期待が相場を押し上げました。週明け10日は下落。週末の雇用統計において雇用者数が23.6万人増加と前回からは鈍化したものの予想を上回り、失業率も3.5%に低下したことからドル高が進んだ。またこれを受けて5月FOMCで0.25%の利上げ観測が高まっており、景気悪化が懸念されていることも重しとなった。11日は反発。来月のFOMCで0.25%の利上げが見込まれており、これを最後に金融引き締めが一旦終了するとの期待が相場を押し上げた。また、来月から主要産油国が自主減産を開始し、北半球の需要期にかけて需給が引き締まるとの見方や、EIA統計で原油、製品在庫のさらなる取り崩しが見込まれていることも支援要因となった。12日は続伸。3月米CPIが前年比で+5.0%まで鈍化したことを受け、来月FOMCでの利上げ終了期待がさらに高まったことが要因。米長期金利が低下し、ドル安に振れたことも相場を押し上げた。EIA統計では原油在庫が59.7万B増加となったが、反応は限定的であった。

 13日は反落。前日までの上昇による利益確定の売りが出たほか、物価高や金利高を背景に景気後退が意識されたことが重しとなった。また、OPEC月報で2023年の需要見通しが下方修正されたことも圧迫要因となった模様。

NY原油チャート

 今週の原油相場はもう一段高の展開となるか。5月からの主要産油国による自主減産により、減産規模が日量366万Bとなることから需給ひっ迫への懸念が引き続き支えとなっている。また、中国の需要回復もあり、年後半には需給がさらに引き締まると見られていることや、イラク北部からのパイプラインによる輸出が引き続き停止していることから下値は底堅いと思われる。先週の米経済指標から、来月FOMCでの0.25%の利上げを最後に金融引き締めが終了するとの期待でドル安進行していることも支援材料となっている。テクニカル面でもWTIで12月から跳ね返されていた80ドルを上抜けたことで、次の目標は86~90ドルとなってくるか。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。