週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比4.20ドル高の74.27ドル、ブレント原油は3.05ドル高の79.06ドルとなった。

 前週末の海外原油は、米国がSPR(戦略石油備蓄)の補充を急がない姿勢を示したことが重しとなったほか、欧州銀行株が下落するなど根強い金融不安が嫌気され軟調な推移となった。

 先週に入り、週明けはイラク北部のクルド自治区とトルコのジェイハン港を繋ぐ石油パイプラインが停止したと伝わったことで供給懸念が高まったことが支えとなったほか、経営破綻した米シリコンバレー銀行を地銀のファースト・シチズンズ銀行が買収すると発表され、金融不安が後退したことが支えとなり堅調に推移、その後買い戻しが一服すると、方向感を見極めたいとの思惑から様子見姿勢が強まった。翌28日も、前日に引き続きイラクとトルコを繋ぐパイプラインが停止したと伝わったことが支えとなったほか、金融不安が後退したことが支えとなり続伸する格好となった。その後発表されたAPI統計では、原油在庫の610万B減少が示され、上げ幅を拡大した。29日は、EIA統計で原油在庫が予想外に減少したことは支えとなった一方、3月のロシアの原油生産の削減幅が日量30万Bと、目標の50万Bを下回ったことが重しとなり横ばいの動き。30日は再びパイプライン停止による供給懸念が再燃し、また株高/ドル安進行したことが支えとなって値位置を切り上げることとなった。

原油チャート

 今週の原油相場は、引き続き堅調な推移を予想する。欧米の金融システム不安に端を発した大幅な下振れからの戻り基調が鮮明となっており、マーケットがリスクオンに振れている中、イラク北部クルド自治区からの輸出停止が引き続き押し上げ材料となるだろう。3日にOPECプラスの共同閣僚監視委員会が開催されるが、ここは大きなサプライズは想定されておらず、無風通過となる見込みが高そう。外部要因に目を向けると、NYダウは戻り基調、これまでレンジ相場から上抜けて3万2000ドル台後半まで戻してきており、またドルインデックスはドル安が進行している。急ピッチの上昇からの反動で利食い売りに押される場面も想定が必要だが、下方向へ一方通行には動きにくいと考えられる。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。