週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.36ドル安の76.16ドル、ブレント原油は1.28ドル安の82.89ドルとなった。

 前週末の海外原油は横ばい。FRB当局者がインフレ抑制のために追加利上げが必要との見方を強調したことからドル高進行したことが重しとなり軟調な推移となるも、その後買い戻しが入って下げ幅を縮小する展開となった。

 週明けは、米国がワシントン誕生日で薄商いだったが、中国の石油需要回復期待やロシアの減産計画が支えとなる中で堅調に推移、ただ東京時間にかけては、WTIの納会日を控えて様子見姿勢が強まる格好で引けている。21日は、2月の米非製造業購買担当者景気指数(PMI)が節目の50を上回るなど堅調な米経済指標を受けて、利上げへの懸念が強まったことが重しとなり軟調な推移となった。22日も続落。FOMC議事録の公表を前にドル高に振れたこともあり、インフレによる需要減退懸念から下押された。テクニカル面での悪化も重なり、売り圧力が強まった模様だ。23日は、ロシアが西部にある港からの原油輸出を2月比で最大25%削減すると伝わり、供給懸念が高まったことから反発。東京時間でも堅調な推移を引き継ぎ、米大手金融機関による需要の強気見通しやロシアからの供給減少が支えとなる中で上げ幅を拡大する展開となった。

NY原油チャート

 今週の原油相場は、引き続きレンジ相場となりそうか。WTIは先週の高値80.78ドルから22日には73.80ドルまで下押された。翌日には反発したものの、目先はこの安値を維持できるかどうかが焦点となるだろう。仮に割り込むようであれば、今月上旬の安値72.64ドルが下値目標となってくる。ファンダメンタル面に目を向けると、ドル高や米原油在庫の減少が下押し材料となる一方、中国の需要回復期待に加え、ロシア西部(バルト海や黒海沿岸)からの原油輸出が25%減になるという観測が浮上していることが下値抑制要因となっている。以上より、一方通行に大きくは動きにくく、下値では買い戻し/上値では戻り売りが入りやすい展開が想定される。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。