週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比0.34ドル安の77.52ドル、ブレント原油は0.2ドル安の84.17ドルとなった。

 前週末の海外原油は反発。西側諸国によるロシア産石油の上限価格設定に対抗する措置として、ロシアが3月の生産量を日量50万B減産すると発表したことが相場を押し上げた。またOPECプラスはこの減産分の穴埋めはしないとのこと。

 先週は強い米経済指標から利上げ長期化観測が広がり、やや売りが優勢な展開となった。週明け13日は続伸。ロシアの減産や中国の需要回復見通しが引き続き支援要因となった。ただ、米CPIを控えて様子見ムードも広がっている。一方で米国が予定されていた2,600万BのSPR放出を実施するとの報から、引け後には売りが優勢となった。14日は反落。米国のSPR放出が重しとなるなか、EIAが主要7ヵ所のシェール生産地の3月産油量が過去最高に達する見通しを示したことから軟調な推移となった。また米CPIが市場予想ほど減速しなかったことから、利上げ継続が懸念されたことも圧迫要因となっている。15日は続落。EIA統計で原油在庫が1,628万Bの大幅増加となったことが嫌気された。また米小売売上高が強い内容となったことで利上げ継続や景気悪化が意識されたことも圧迫要因となった。ただ、中国の需要回復を背景にIEAが需要見通しを上方修正したことは支えとなった模様。16日は小幅続落。米1月PPIが市場予想ほど鈍化しなかったことや、米新規失業保険申請件数が低水準となり利上げ継続が意識されたことが重しとなった。

NY原油チャート

 今週の原油相場はレンジ相場となりそうか。先週はWTIで80ドルを維持できずに反落となった。またEIAでの原油在庫の大幅増加や米SPRの放出、米経済指標が強い内容となったことで利上げ継続が意識されていることから、引き続き上値は抑えられるだろう。一方で、OPECやIEAが中国のゼロコロナ解除による石油需要の増加を背景に需要見通しを上方修正したことは支えとなり、安値では買いが入りやすいとみる。テクニカル的にもWTIは80ドルで何度も跳ね返されていることから上値抵抗は強く、下値は前回安値の72ドルが支えとなり、72~80ドルのレンジでの推移が想定される。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。