週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比9.27ドル安の71.97ドル、ブレント原油は10.48ドル安の76.61ドルとなった。

 前週末の海外原油は下落。米雇用統計が予想以上の強い内容となりドル高が進んだことや、上昇に対する利食い売りに押される格好となった。

 先週は利上げによる世界的な景気後退から石油需要の減少が警戒され週間を通して軟調な推移となった。週明け5日は続落。米ISM非製造業景気指数が予想に反して上昇し、利上げが長期化するとの見方からリスク資産である原油や米株式売られる展開となった。6日も続落。堅調な米経済指標から引き続き利上げ局面が続くリスクが意識された。また中国の11月PMIが6ヵ月ぶりの低水準となったことで需要後退が意識されているほか、ロシア産原油の上限価格設定は供給混乱の要因にならないと見られていることも重しとなっている模様。7日は続落。米金融大手各社が、FRBの金融引き締めの長期化により同国が景気後退に陥る可能性が高いとの見方を示したことが重しとなったほか、EIA統計で製品在庫が大幅積み増しとなったことも圧迫要因となった。8日も続落。カナダと米国を結ぶ「キーストーン・パイプライン」がオイル漏れのため停止したとの報から一時急騰となった。しかし短期間で復旧するとみられているから往って来いとなり、その後は引き続き世界的な景気悪化が警戒されていることから軟調な推移となった。

原油チャート

 今週の原油相場はWTIで70ドル、ブレントで75ドルの節目維持ができるかが注目される。来週は13日の米CPI、14日のFOMCとイベントを控えており景気悪化懸念が強まると節目底割れの可能性もある。WTIでは昨年12月に62ドル台から3月に瞬間130ドル、6月にも120ドル超えまで上昇後の下落局面となっており、1年かけての行ってこいの65ドル割れまで下値余地はでたと警戒する必要があるだろう。ただ、G7などのロシア産原油の上限価格設定に対するロシアの対抗措置に対する懸念や米戦略備蓄の補充予定価格72-67ドル以下の水準に近づいてきており原油需給的には弱気一辺倒にはなりにくい環境とみる。来週は金融マーケットの動きを見極め買い場探しのスタンスで臨みたい。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。