週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比2.13ドル安の102.94ドル、ブレント原油は3.26ドル安の105.28ドルとなった。

 前週末1日の海外原油は反発となった。リビアの供給停止とノルウェーで翌週ストが計画されていることが供給懸念となり反発した。

 先週4日は米国が独立記念日で休場のなか上昇した。OPECの6月の生産(増産)目標が未達となったことや引き続きリビアの生産減少などが材料となったが世界的な景気リスクもあり上値重い一面もあった。翌5日は暴落相場となった。景気後退懸念で上値重い推移が続いていたが、中国で大規模PCR検査実施が報じられ、ロックダウンによる原油需要減少懸念の高まりもあり下落。また、ノルウェーのストが政府の介入で終了したことも後を押したか。6日も続落となった。中国の需要悪化や景気減速懸念が材料となり続落した。翌7日は反発した。ロシアの裁判所がカスピ海パイプラインコンソーシアム(CPC)に対し操業停止命令を出したこと等から供給懸念が高まったこと、投資家の投げ売りが一巡したことから反発した。8日も前日の流れを引き継ぎおおむね安値修正の動きが続いている。

原油チャート

 景気後退懸念が供給リスクを帳消しにする格好で投げ売りを誘発し暴落となった。ただ、ブレントの100ドル割れでは売りが手控えられ値を戻した。景気懸念はしばらく上値を抑える要因となりうるが、米大統領の中東歴訪を翌週に控えるが短期で大幅増産するキャパがないと見られており、100ドル割れからの大幅下落リスクは大きくないのではないかと考える。大幅に動いた後であるがゆえに値動きが荒くなると思われるものの、100-110ドルのレンジ内で次の材料をうかがう展開となりそうである。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。