週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比2.12ドル高の113.77ドル、ブレント原油は5.68ドル高の117.09ドルとなった。

 前週末の海外原油は続伸。中国・上海の都市封鎖緩和により石油需要が回復すると期待されていることや、米国のドライブシーズン入りでガソリン需要が上向くとの期待が相場を押し上げた。しかし金融引き締めによる景気後退への懸念から米株価も上値重く、原油にも重しとなっている模様。

 先週は週末の米メモリアルデーに向けてガソリン需要が高まるとの見方が支えとなり底堅い推移となった。週明け23日は小幅続伸。売りが先行する展開となったが、米国株に安値拾いの買いが入り大幅高となる中で、リスクオンの動きから原油も値を戻す格好となった。24日は反落。米エネルギー長官が国内の燃料価格高騰を抑制するために輸出制限の可能性を示唆したことが重しとなった。また欧州の制裁によりロシアからの供給は減少すると見られていたものの、5月のロシア・ウラル産原油の輸出が当初の計画と一致していると伝わったことも圧迫要因となった模様。ロシア産原油に対するアジア勢の需要が強く、ロシアの輸出は底堅いと見られている。25日は反発。米メモリアルデーに向けてガソリン需要が高まるとの見方や、EIA統計において原油、製品の輸出が日量1,000万Bを上回ったことで供給ひっ迫が意識される格好となった。26日は米株式が堅調に推移したことに加えて、米ガソリン在庫が過去5年レンジを下回っている状況でドライブシーズンを迎えることが相場を押し上げた。



 今週の原油相場はレンジ上放れとなりそうか。中国ロックダウンの緩和期待や、米国のドライブシーズンでのガソリン需要の高まりが引き続き支えとなり下値は底堅いと思われる。またFOMC議事要旨では今後の2会合で0.5%の利上げが適切との見解が示され、安心感から米株式が持ち直したことも原油の支えとなりそうである。さらに米長期金利も上げ一服となり、ECBでは7月への利上げ前倒しが既定路線になりつつあることからユーロ高ドル安が進むことも想定される。EUのロシア産原油の禁輸については協議が難航しているが、ドイツ経済相は合意できなければほかの手段も検討するとしており、引き続きウクライナ情勢の混乱が続くことを考えると、下げる場面では押し目買いが有効となるか。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。