週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 前週末の海外原油はロックダウンによる中国経済の後退や金融引き締め加速による米経済の成長鈍化懸念などが重しとなる中で、ダウが一時1000ドル近く下落し、石油需要の下振れが警戒されたことが重しとなり軟調な推移となった。

 先週はロシアによるウクライナ侵攻や対ロシア制裁への対抗措置により供給ひっ迫懸念が強まったことが支えとなる一方、中国でのロックダウンやFOMCによる金融引き締め加速から世界経済の後退懸念が強まり、石油需要が減少すると警戒されていることが重しとなり週間ベースでは下落した。週明けは上海市に続き北京でもコロナ感染者数が増加しており、ロックダウン等の封鎖措置が取られれば原油需要が下押しされるとの懸念から急落する展開となった。また、米利上げ観測によるドル高進行も重しとなった模様だ。翌26日は前日に急落した自律反発の動きから押し目買いが入ると、米シェール生産地のバッケンが寒波に見舞われ生産量を落としているとの報や、ロシアがポーランドとブルガリアへの天然ガスの供給を停止すると述べたことで、欧州のエネルギー供給の混乱が警戒され堅調な推移となった。翌27日は米EIA統計において石油需要が低調だったことや、景気減速による石油需要の減少懸念が重しとなる中で売りが先行したものの、ウクライナ侵攻の長期化や供給ひっ迫懸念が支えとなると切り返し、小幅に反発する展開となった。



 GW中に米FOMCと大規模イベント、ロシアからすると5/9には戦勝記念日を控えている状況である。供給への懸念という点では非常に強い状況の原油といえる半面、景気鈍化への懸念や暫く続く在庫放出の影響が見えない点などから値動きは大きいもののおおむね膠着状態となっていることがうかがえる。テクニカル上は強気トレンドは現状維持されているものの三角持ち合いの形成が鮮明で上下へ離れた方向へボラティリティが高まりやすい状況である。翌週という短期に限るのであればブレントで100ドル割れ-110ドル程度のレンジ推移を想定するが、上値切り下げが鮮明なため99ドルあたりを割り込むようだと下落警戒が高まりそうだ。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。