週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比4.73ドル安の102.22ドル、ブレント原油は5.02ドル安の106.68ドルとなった。

 前週末の海外市場はグッドフライデーで休場となった。

 週明けの18日は上昇した。リビア国営石油会社がシャララ油田の生産について不可抗力条項を宣言したことが材料となった。一方中国での新型コロナ流行が続き需要減への懸念もあり、上昇幅は最近の値動きからすると1ドル強と小幅なものとなった。翌19日は大幅に反落する展開となった。国際通貨基金(IMF)がウクライナ進行や高インフレ等を背景に世界の成長見通しを4.4から3.6%に大幅下方修正を行い、需要後退懸念から下落となった。翌20日は小幅に反発した。景気減速懸念の高まりから上値重く推移したが、米EIA石油統計で製品需要が振るわなかったものの、米国輸出が拡大し原油在庫が大幅に取り崩されたことでプラスサイドを回復した。翌21日は上昇した。リビアの生産停止やEUがロシア産原油の禁輸を検討していることが材料視されたが、経済鈍化や在庫放出など影響なども意識され高値からは押し戻された。翌22日は週末を控えた玉整理から反落気味で推移している。



 週末以降、フランスの大統領選挙、日銀会合、日本のGW中に米FOMCと大規模イベント、ロシアからすると5/9には戦勝記念日を控えている状況である。供給への懸念という点では非常に強い状況の原油といえる半面、景気鈍化への懸念や暫く続く在庫放出の影響が見えない点などから値動きは大きいもののおおむね膠着状態となっていることがうかがえる。テクニカル上は強気トレンドは現状維持されているものの三角持ち合いの形成が鮮明で上下へ離れた方向へボラティリティが高まりやすい状況である。翌週という短期に限るのであればブレントで100ドル割れ-110ドル程度のレンジ推移を想定するが、上値切り下げが鮮明なため99ドルあたりを割り込むようだと下落警戒が高まりそうだ。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。