週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比0.68ドル安の106.06ドル、ブレント原油は0.8ドル安の109.33ドルとなった。

 前週末11日は前日までの下落から一転し反発した。イラン核交渉中断や悪化するウクライナ情勢を材料に反発となった。

 先週14日は急反落となった。ウクライナとロシアの停戦協議の進展に対する期待や中国のコロナ感染者拡大による需要低迷が懸念となり大幅に下落した。翌15日も大幅に下落した。引き続き中国のコロナ感染拡大による需要懸念に加えイランの制裁が解除されるとロシアも取引可能という確約が米国に示されたとの報による供給増加の可能性を背景に大幅に下落した。翌16日も続落した。前日までと同様に中国への懸念、供給増加期待に加え、米国EIA統計で原油が予想外に430万B増加、クッシング州在庫も増加を示し低在庫への懸念が和らぎ下落した。また、IEAが月報で4月以降対ロ制裁の影響で300万B /Dの原油や石油製品の供給が減少する可能性があるとの報告があったがその日は材料視されなかった。翌17日は大幅反発となる。前日のIEAが示した対ロ制裁による供給減少が見直されたことやロシア大統領府がウクライナ協議に対し大きな伸展があったとの報道を否定したことから大幅に切り返す動きとなった。翌18日もその流れを引き継ぐも高値からは値を削って推移している。



 乱高下している原油マーケットだが、今週も予断を許さない環境は続きそうだ。材料的としては、引き続きロシア⇔ウクライナ状況と、付随する国際社会の対ロシア経済制裁やウクライナ支援に関するニュースが注目される。米国は、バイデン大統領が難色を示しているとしたロシア産エネルギーの輸入禁止を一転して発表し、英国もそれに倣った。英国を除く欧州各国のロシア産原油輸入がどの程度まで削減されるかは不明で、またOPECのバルキンド事務局長は、「埋め合わせる余剰能力は世界にはない」と懸念を示している。主要産油国のうち日量数百万バレルの増産余力があるのはサウジアラビアとUAEであると言われているが、米国がサウジ、UAEへ首脳電話会談申し込んだが拒否されたとも報じられており、先行きの不透明感は強まっている。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。