週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.3ドル安の89.46ドル、ブレント原油は0.19ドル安の91.25ドルとなった。

 前週末4日は大幅に続伸した。ウクライナ情勢の緊迫化や米国で寒波が襲来し停電による供給不安が背景となった。

 先週7日は反落した。イラン核合意再建協議が合意に近づく可能性が意識され反落した。バイデン米政権がイランの民間原子力関連の経済制裁の一部解除を示したことを受けた。翌8日は続落となった。米国とイランの間接交渉が再開し核合意が再成立しイラン産原油の供給急増の可能性が意識された。また、仏マクロン大統領がプーチン大統領との対談をうけてウクライナ情勢のこれ以上のエスカレートはないと述べたことなどから利食い売りを誘った。翌9日は反発した。米EIA石油統計で原油在庫が480万B減少したことが示され、製品需要も2200万B/Dと高水準を示したことを材料視した。翌10日も前日の流れを引き継ぎ堅調推移が続いている。



 堅調な需給や投資ニーズから底堅い展開となったが、ウクライナ情勢とイラン情勢次第では反落リスクをはらむ状態といえそうだ。また季節的な暖房需要が後退していくことを視野に入れてか天然ガス価格も軟化し、多少関連していると思われるがWTIもブレントもバックワデーション幅がピークアウトしている。中期的なスパンでは強気相場が続くと見るが、短期では押し目がある可能性は否定できないだろう。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。