週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.65ドル高の90.76ドル、ブレント原油は1.68ドル高の91.44ドルとなった。

 前週末の海外原油は小反発。石油需要が回復を続けるなか、OPECプラスが増産目標を達成できていないことから需給引き締まりが支えとなった。

 先週は供給を上回る需要回復見通しから底堅く推移し、ウクライナ情勢の緊迫化からWTIで90ドルを超える展開となった。週明け31日は続伸。引き続き脱炭素の流れによる投資不足から石油生産が需要の回復に追い付いていないことや、ウクライナ情勢が支援要因となっている。ロシアによるウクライナ侵攻懸念が高まっており、その場合、米国や英国はプーチン大統領に近いエリート層への制裁も検討している模様。2月1日は横ばい。OPECプラス会合を控えて売り買い交錯する展開となった。関係筋は3月も増産ペース維持の公算が高いとしており、供給不足が続くとみられている。一方でEIA統計で原油在庫が3週連続の増加が予想されていることは重しとなった。2日は小幅上昇。OPECプラス会合で3月の生産が予想通り日量40万Bの引き上げとなったことで供給ひっ迫懸念から一時上昇する場面がみられた。しかしその後のADP雇用統計で予想に反して減少となったこともあり、利食い売りから上げ幅を削る展開となっている。3日は続伸。ロシアがウクライナへ侵攻する可能性が高まっていることが相場を押し上げたことに加え、EUB理事会で年内の利上げ期待への高まりからユーロ高ドル安となったことも支援要因となった。



 今週の原油相場は一段高となりそうか。OPECプラス会合で日量40万B増産の現状維持となったことで引き続き供給懸念が意識されるなかで、ロシアがウクライナ侵攻の口実作りをしているとの報から緊迫感が一気に高まっている。WTIで90ドルの節目を超える動きとなっており、ウクライナ情勢が落ち着きを見せるまではさらに上値を伸ばす展開が想定される。高値では利食い売りも出やすくなると思われるが、ドル高一服となっていることも原油には支援要因となるため、押し目があれば買いを狙いたい。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。