週刊石油展望

著者:三浦 良平
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比2.85ドル高の76.64ドル、ブレント原油は3.19ドル高の79.35ドルとなった。

 前週末の海外原油はクリスマス休暇で休場。

 週明けは、堅調な米経済指標が好感されたことで株高進行するなど、リスクオンムードが強まったことから原油にも買いが入り堅調な推移となった。また、オミクロン株への懸念が後退していることも支えとなった。28日は、オミクロン株による石油需要の下振れは一維持的との見方が強まっていることが引き続き支えとなり堅調な推移となった。また、米国が南アフリカなど8か国からの入国制限を年内で解除すると発表するなど、移動制限や都市封鎖などの制限措置が緩和していくとの思惑も買いを誘った。翌29日は、EIA週報にて原油在庫が予想をやや上回る減少、製品については増加予想に反して減少となったことで一時大きく上昇する展開となった。しかしその後は年末の薄商いのなかで利食い売り優勢となり値を削る動きとなっている。



 今週の原油相場は、現状レンジ~やや上目線な動きとなりそうか。材料的には、新型コロナウィルスオミクロン株の感染拡大懸念に対して、重症化リスクの低さやファンダメンタル面での需給タイト感、また欧州を中心とした天然ガスの高騰など、強弱材料は入り混じるものの、マーケットは上げ材料優勢といった見方が続いており、下値は底堅そうだ。テクニカル面では、WTIで77ドルを突破し、短期間での買われすぎ感からやや調整が入っているものの、先述の理由から大きくは売られにくいだろう。なお、年初1月4日にOPECプラス会合が予定されており、注目ではあるものの、ポジティブ及びネガティブサプライズは現時点では想定されていない。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。