週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比2.04ドル高の73.79ドル、ブレント原油は1.65ドル高の76.16ドルとなった。

 前週末の海外原油は反落。世界各国でオミクロン株が拡大していることが重しとなった。米国立アレルギー感染症研究所長のファウチ氏が米国でもオミクロン株が主流になると警告したこともあり、先行き不透明感が強まりリスクオフの動きとなった。

 先週は前週の急落から安値では買い戻しが入り、オミクロン株への警戒感も膨らんでいないことから堅調に推移した。20日は続落。オミクロン株が急速に拡大しており、各国で規制強化されていることが重しとなった。しかしバイデン政権が看板政策に掲げる大型歳出法案の実現が不透明になったことでドル安となり安値から切り返す展開となった。21日は反発。週末にかけて急落した反動から買い戻しが優勢となった。オミクロン株が弱毒性であるとみられていることから警戒感は膨らんでおらず、主要国がロックダウンに踏み切ることは想定されていないとした。22日は続伸。株高ドル安が支えとなったほか、EIA週報において原油在庫が予想を大幅に上回る取り崩しとなったことも支援要因となった。ヒーティングオイルの需要が本格化する時期になり、原油在庫を消費して製品を積み増す動きとなっている。23日も続伸。オミクロン株の重症化リスクが低いとの認識が各国のデータで裏付けられており、需要下振れ懸念が後退したことが要因となった。また米テキサス州にあるエクソン・モービルの製油所で火災が発生したこともやや支援要因となった模様。



 今週の原油相場は年末に向け動意に欠ける動きとなりそうか。週末の急落から買い戻しが入る格好となっており、引き続き下値は底堅く推移している。オミクロン株の感染拡大が意識されているものの、重症化しないとみられていることから今のところ大きな売り材料にはならないと思われるが、クリスマス休暇後には英国で規制が導入される可能性や、ドルの高止まりも上値を抑える要因となっているため戻りは売られやすいと考える。年末の薄商いとなるなかで、ボラティリティの高まりには注意したいところである。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。