週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比3.60ドル安の79.22ドル、ブレント原油は3.86ドル安の80.57ドルとなった。

 前週末の海外原油はまちまちの動きとなった。インフレ警戒感から金利が上昇しドル高となったことが重しとなったが、米国株が底堅く推移したことや、OPECプラスが追加増産は行わないとの見方から押し目買いが入る展開となった。

 先週は高値調整局面となった。週明け1日は続伸。引き続きOPECプラスが増産ペースを維持するとみられていることや、10月のOPECの生産量の伸びが限定的であったことが支援要因となった。ナイジェリアなど一部の産油国では投資不足などの影響で生産余力が乏しくなっている。2日は小反落。OPECプラス会合やEIA統計を控えて小動きとなった。3日は大幅下落。EIA統計で原油在庫の増加が続いたことが重しとなったほか、OPEC会合前の調整売りが入ったことも圧迫要因となった。FOMCでは予想通り今月から月額150億ドルずつの資産購入ペースの縮小がアナウンスされたが、相場への影響は限定的であった。翌4日は乱高下。OPECプラス会合で12月の増産幅がこれまで同様の日量40万Bに据え置かれたことから一時WTIで83.40ドルまで急騰となったが、サウジの生産量が12月は節目の日量1000万Bに達するとの報道が流れると一転、利益確定の売り物に押され79ドル割れまで急反落となった。



 WTIは10月25日に付けた一代高値85.41ドルを1日に85ドル手前で失速、上抜け失敗から大きく崩れた。チャート的にはWトップ完成から下値余地を探る展開が目先予想される。ただ、OPECプラスが追加増産に応じなかったことから、需給面、季節性をみても下値余地は限定的との見方が根強い。WTIの78ドル割れ、ブレントの80ドル割れレベルでは買いを仕込んでいきたい局面とみる。ただ、ボラティリティが大きくなっており振るい落としには注意が必要だ。英石油メジャーのBPは世界の石油需要が日量1億Bを突破し、コロナ渦以前の水準を回復したとしている。さらに、季節性からくる需給ギャップを埋めるには、まだ数か月かかるとみられ、現状は高値圏でのもみ合いの範疇と捉え、当面は押し目買い方針で臨みたい。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。