週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比0.76ドル高の82.82ドル、ブレント原油は0.28ドル高の84.43ドルとなった。

 前週末22日の海外原油は上昇推移となった。中国不動産大手恒大が23日期限のドル建ての利払いを実施するとのコメントからリスクオフ後退の流れが原油もサポートした。

 先週も前週の流れを引き継いだものの、週半ばに反落する展開へ転じた。週明け25日は買いが先行したもののWTI原油は2014年来高値を更新後に利食いで上げ幅を消す展開となった。翌26日は上昇した。天然ガス石炭からの原油需要シフトや産油国の増産余地の少なさなどを材料視し買いが優勢の展開となった。同日米ゴールドマンサックスやブラックロックはブレントが年末90ドル、将来的には100ドルの可能性を示唆した。翌27日は急反落の展開となった。早朝に米API統計で原油在庫増加が示され、売りが先行した。イランの核協議が11月末までに再開することが示されたことや、欧州天然ガス相場が調整安となったこと、またドル建て商品全般に調整安推移となりテクニカルな売りを巻き込み大幅安の展開となった。EIA統計でも原油在庫が増加したことから米国時間も下げ幅を拡大した。翌28日も流れを引き継ぎ東京時間から下落する展開となるが前日のEIA週報でクッシング州在庫が2018年来の落ち込みを示したことや株式市場が反発したことなどを材料視しプラスサイドまで切り返す動きとなった。週末29日も下げ止まりを意識しやや押し目買いが優勢な展開となっている。



 月初にOPECプラスの会合や今後イラン情勢を意識しなければならないものの、原油のファンダメンタルや産油国のスタンスを見ると需給はひっ迫気味に推移することが想定される。先週の下落局面は押し目買いの好機だったのではないか。一段安の可能性も否定できないがさほどは深くないと思われる。とはいえ目先はガスが調整安気味に推移し、原油においてはOPECプラス、金融市場もイベント待ちの状態となっており、原油もすぐ上値を目指すというよりは底堅いながらもレンジ化しやすいのではないか。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。