週刊石油展望

著者:三浦 良平
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先週末のWTI原油は前週比0.04ドル高の82.06ドル、ブレント原油は0.67ドル高の84.15ドルとなった。

 前週末の海外原油は続伸。IEAが月報で21年および22年の石油需要見通しを上方修正したことで引き続き需給ひっ迫懸念が意識されたことに加え、米小売売上高が予想に反して増加となったことで株価が堅調に推移したことも支援要因となった。

 先週に入ると、マーケットの勢いはやや失速気味での推移となる。週明け月曜は小幅続伸。ただし、中国GDPの伸び悩みや米鉱工業生産の低下など米中の経済指標の悪化が嫌気され一時の上げ幅を打ち消す格好となった。また、天然ガス価格が大幅続落し、上げ一服となっていることも上値を抑えた。19日は、北半球で気温の低下とともに暖房需要が増加している中で、エネルギー供給不足が続くとみられていることが支えとなり堅調な推移となったものの、その後中国政府が石炭価格の引き下げのため市場に介入することを検討していると伝わったことで価格が急落し、原油もつれ安となった。20日は、EIA統計において原油や石油製品在庫が減少していたことが好感され堅調な推移となった。また、米原油生産が前週比で日量10万B減少と需要が拡大している中でも生産は伸び悩んでいることも買いを誘った模様だ。翌日は上げが続かず、21日は天然ガスや石炭価格の上昇一服、またラニーニャ現象の影響で米国が暖冬になると予報されていることなどが重しとなり反落した。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。