週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比2.62ドル高の82.02ドル、ブレント原油は1.79ドル高の84.82ドルとなった。

 前週末の海外原油は続伸。原油へエネルギー需要がシフトすることによる需給引き締まり観測に加えて、国慶節明けの中国株が堅調であったことが相場を押し上げた。

 先週は世界的な電力需要の増加から天然ガスや石炭価格が上昇となり、引き続きエネルギー需要が原油にシフトするとの見方から堅調に推移し、WTIで80ドルを維持する展開となった。週明け11日は続伸。世界的な電力需要の増加により天然ガスや石炭価格が上昇しており、相対的に安価な原油の需要が高まっていることが要因となった。

 脱炭素の流れからシェールオイル生産が伸び悩んでおり、需給ひっ迫が引き続き意識されている。12日は小幅続伸。WTI原油が約7年ぶりの80ドルを達成したことで利食い売りやドル高に上値を抑えられる格好となったが、引き続き下値は底堅い動きとなった。ただエネルギー高によって主要国の経済活動が圧迫され、石油需要が落ち込むリスクが警戒されつつあることも重しとなった模様。

 13日は小反落。OPEC、EIAが月報でともに需要見通しを下方修正したことから売りが優勢となった。ただ天然ガスが高値圏を維持していることから下値は限定的となっている。15日は反発。この日はサウジが追加増産を行わない方針を表明したことにより改めて供給ひっ迫への警戒感が相場を押し上げた。EIA統計では原油在庫が608万Bの増加となったが、夏場の需要期が終わり製油所の定期改修が行われる時期であり、原油投入量が減少傾向にあることからあまり材料視はされなかった模様。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。