週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.33ドル安の68.64ドル、ブレント原油は1.10ドル安の72.06ドルとなった。

 前週末の海外原油は反落。米雇用統計が事前予想を下回る数字となったことで、売りが優勢となった。また週明けがレーバーデーで3連休を控え利食い売りも出る格好となった。

 先週は先週末の雇用統計の結果を受けて上値重い推移となったが、ハリケーン「アイダ」の影響が下支えとなる展開となった。週明けは6日はレーバーデーで休場。サウジアラムコが10月分のアジア向け原油販売価格(OSP)を引き下げたことが重しとなった。7日は続落。引き続きサウジのOSP引き下げによりアジアの原油需要の後退が意識されたことに加え、アジア新興国でコロナ流行が続いていることやドル高となったことも圧迫要因となった。ただ米国でハリケーン「アイダ」の被害により原油生産があまり回復していないことや、8月中国貿易統計で原油輸入量が増加していたことは支えとなった模様。8日は反発。ハリケーン「アイダ」による被害が甚大であることが相場を押し上げた。米国の海上油田の生産は約7割が停止したままであり、完全な復旧の見通しは立っていない。9日は続落。EIA週報において原油在庫が予想を下回る取り崩し幅であったことや、中国が原油の戦略備蓄を放出するとの報が圧迫要因となった。放出の規模は1,000~1,500万Bと見られているが、詳細については不明となっている。



 今週の原油相場は引き続き上値重い展開が想定される。ハリケーンの影響で生産が回復していないことが支えとなっているものの、米雇用統計の弱い内容に加え、アジアでのコロナウイルスの流行から原油需要の鈍化が引き続き意識されると考える。米株価も高値から下げてきており、リスクオフムードによるドル買いが進むと原油にとっては圧迫要因となるため、レンジ上抜けには新たな買い材料が必要となるか。戻りは売られやすい状況であり、経済指標の内容によってはレンジ下抜けも想定されるため注意したいところである。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。