週刊石油展望

著者:三浦 良平
ブックマーク
 先週末のWTI原油は前週比4.53ドル高の68.60ドル、ブレント原油は5.45ドル高の72.24ドルとなった。

 前週末の20日は続落した。この日、納会を迎えたWTIは利益確定の売りが継続した。デルタ株の流行拡大による需要拡大見通しの悪化やFRBが資産購入ペースの減速に前向きとの見方が重しとなった。

 ただ、先週に入り底入れ機運が高まる相場となった。23日は急反発。ドル安が進行したことでドル建て原油価格の割安感が浮上したことに加え、メキシコ国営石油会社ぺメックスの海上油田の火災により買い意欲が高まった。翌24日は続伸。FDAがファイザー製ワクチンを正式承認したことで流行の抑制が期待されることが好感された。25日はEIA統計で原油在庫が減少し、石油製品需要が4週間平均で日量2099万Bと堅調な内容だったことが相場を押し上げた。26日は反落。株安や短期的な急騰による利食い売りで上値を削る展開となった。ただし、週末、アジア時間では地政学リスクの高まりや米メキシコ湾岸に熱帯低気圧が向かっていることから買い気が強まる流れとなった。



 今週の原油相場はWTIで目先、70ドルをうかがう展開か。一過性の材料として米メキシコ湾岸で熱帯低気圧「アイダ」がハリケーンに発達して今週末、米ガルフの石油施設を直撃しそうだ。また、アフガンでの地政学リスクも増大しており上値余地が拡大している。また、金融関係ではパウエル議長のジャクソンホール講演を終えて振れ幅が大きくなる懸念がある。ただ、地政学を除いた強材料は週末、週頭に集中しており、目先の急騰場面は売りから入りたい局面とみる。テーパリングの開始や米国のドライブシーズン終了が近づく中、上値追随買いをするにはリスクが高く、買い場探しは慎重にいきたいところ。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。