週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比4.79ドル高の66.95ドル、ブレント原油は4.32ドル高の69.50ドルとなった。

 前週末の海外原油は反発。イラン核合意の協議が進展しているものの、新型コロナのパンデミック後の需要回復でイランの増産分は吸収されるとの見通しが相場を押し上げた。またメキシコ湾で熱帯性低気圧が発生する可能性があるとの予報も支援要因となった。

 先週はイラン核合意が大詰めとなり供給増加が意識されるものの、最終合意に至っていないことや今年後半には経済が正常化し、石油需要の増加するとの見方から堅調な推移となった。週明けは続伸。引き続き年後半にかけて石油市場が需要超過のまま推移すると期待されていることや、イラン核合意において米国務長官がイランが核合意を遵守する構えがあるのか不透明であると述べ、合意成立が危惧されたことも背景となった。25日は小動き。イラン核合意が大詰めを迎えている一方、コロナショック後の経済正常化による需要増加が意識され、ドル安に振れたことも支えとなった。26日は横ばい。イラン核合意による供給増加懸念が意識されているものの、EIA週報で原油、製品在庫が予想を上回る減少幅であったことが相場を支えた。ただ、サイバー攻撃によりパイプラインが停止していた期間が残る週報であったため強気な反応は限られた。27日は続伸。バイデン大統領が6兆ドル規模の予算を提案するとの報や、米経済指標が堅調であったことから株高原油高となった。またインドのコロナ拡大がやや落ち着きつつあることも支援要因となった。



 今週の原油相場はWTIで66ドルを維持、ブレントで70ドルを突破できるかが焦点となってくるか。イラン核合意によりイランの増産が意識され上値が重くなっているが、ある程度織り込んでいることや増産分以上に需要増加が見込まれているため、最終合意となっても一時的な反応になると思われる。また6月1日のOPECプラスの会合では縮小方針の確認が行われるとのことで大きな動きは無さそうである。しかし来週末には米雇用統計も控えており、予想を大きく下回る結果となれば経済正常化が後退するとの懸念から売られやすい展開となることも想定しておく必要がある。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。