週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比1.57ドル安の62.16ドル、ブレント原油は同1.73ドル安の65.18ドルとなった。

 前週末の海外原油は前日までの下落から押し目を拾われる形で上昇すると、株高・ドル安進行などが支えとなる中で堅調な推移となった。

 先週は先週下落した自律反発の動きから上昇して始まり高値を目指す展開となったものの、高値からは戻り売りに合うと週末にかけて急反落する格好となった。週明けは欧米でのワクチン接種の進展に伴う経済活動の正常化期待が支えとなり堅調な推移となった。一方で、中国の経済指標が予想より弱い内容だったことは上値を抑えた。翌18日は前日の上昇から利食い売りが入る格好で反落すると、イラン核合意の交渉に大きな進展があったと報じられたことでイラン産原油の輸出が増加するとの懸念が強まり軟調な推移となった。また、株安推移したことや直近高値を上抜けなかったことでテクニカルな売りが入ったことも重しとなった。翌19日も前日の弱い流れを引き継ぐと、FRBが早期の利上げに踏み切るとの警戒感が高まったことでリスクオフムードが広がり、ドル高・株安進行したことから原油も軟調な推移となった。また、アジアでのコロナ感染拡大により石油需要見通しが悪化していることも重しとなった。週末にかけても軟調な流れが続くと、引き続きイラン核合意の協議進展によるイランからの供給増が警戒され大幅続落した。



 今週の原油相場は持ち合いでの推移が想定されそうか。インフレへの警戒感が高まっていることから米FRBが早期利上げに動くのではとの思惑でリスクオフムードが広がったことや、米国とイランとの核合意の協議に大きな進展があったと報じられたことが重しとなり今週は高値から急落する格好となった。一方で欧米を中心にワクチン接種が拡大していることによる経済活動の正常化期待やイスラエルのパレスチナ自治区ガザ攻撃など、中東の地政学リスクが意識される中で下値もある程度底堅そうであり、強弱材料が交錯する中でレンジ内での推移が想定されそうだ。レンジ幅はブレント原油で直近安値の64.8ドル~70ドル程度がめどとなりそうか。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。