週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比 2.10ドル高の59.89ドル、ブレント原油は同2.72ドル高の63.41ドルとなった。

 前週末の海外原油は反発。原油在庫の減少や中国・インドの需要回復見通しで需給が改善する見通しであること、米国の追加経済対策に対する期待感が相場を押し上げた。IEAやOPECの月報で慎重な需要見通しが示されたことはやや圧迫要因となったか。

 先週はテキサス州の寒波の影響で原油生産が停止したことから堅調に推移したものの週後半は高値警戒感などから利益確定の売りに大きく値を削る格好となった。

 15日はプレジデントデーのため米国市場は休場。16日は続伸。OPECプラスによる減産や、EIAが発表した掘削生産性報告で主要7地域の米シェールオイル生産が低水準を維持する見通しであることが要因となった。また米国の石油産業の中心地であるテキサス州の寒波の影響で原油生産や製油所稼働が一部停止していることも相場を押し上げた。17日も続伸。引き続きOPECプラスによる減産や、新型コロナウイルスのワクチンによる経済活動の正常化で需要回復が鮮明となったことで、需給が改善が改善していくと期待された。米WSJの報道でサウジが4月以降の増産を検討していると伝わったものの上昇基調は崩れなかった。18日は反落。続伸していたことで利益確定の売りが膨らんだ。EIA週報で原油在庫の減少が確認されたが、今週発表分から寒波の影響が強く現れることから先週分はあまり材料視されなかった模様である。



 今週の原油相場は、修正安後に買い戻される展開を予想する。WTIは18日に米国テキサス州の寒波による石油生産障害懸念により62.29ドルの高値を付けた後、週末にかけて60ドルを割り込む水準まで急反落となった。材料的には4月からのサウジの増産観測、米国とイランが数週間以内に核開発協議を開始する見通し、イエレン米財務長官の増税示唆発言と売りを誘いやすい材料が並んだ。ただ、ダウ平均株価は依然、高値圏で推移をしており原油の基調が変わる大崩れは期待薄だと思われる。WTI、ブレント原油とも中心限月移行に伴う益出し売りによる下落の範疇とみられ、利食い一巡後は再度上値を追う流れになるだろう。2月以降の上昇の半値押しレベルのWTIで57ドル、ブレントで60ドルを下値の目途とし、余裕を持った資金配分で買い玉を仕込んでいきたい。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。