週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比 0.72安の52.42ドル、ブレント原油は同0.35ドル安の55.40ドルとなった。

 前週末の海外原油は反落。中国で再び新型コロナの流行が強まる恐れがあることがおこしとなった。またバイデン次期政権が第1弾の景気対策案を発表をしたが、想定の範囲内の内容で合ったことや、週明けがキング牧師の誕生日で休場となることから利益確定の売りを誘った。

 週明け18日は休場。19日は反発。米国の第2弾の景気対策への期待が根強いなかで堅調に推移した。インフラ投資を含む米競争力強化を目指す内容となる見通しであるうえ、バイデン次期大統領はパンデミック下での増税を望んでいないと話したことで短期的な増税懸念が払拭された。20日は続伸。バイデン新政権の景気対策により米経済が下支えされ、石油需要が底堅く推移することが期待されていることや、主要な米株価指数が過去最高値を更新したことが原油市場に追い風となった。しかしAPI統計で原油在庫が予想に反して増加していたことから、東京時間では軟調に推移した。翌21日は小幅反落。API統計で米原油在庫が予想外の増加となったことを懸念したアジア時間の軟調気配の継続に加え、バイデン新政権がイラン核合意に復帰する可能性を警戒した利食い売りに上値の重たい展開となった。EIAの米原油在庫の発表は月曜の祝日と20日の新大統領就任式を受け、通常より2日遅れの22日発表となる。



 今週の原油相場はWTIで50~55ドルのレンジアップした相場展開が継続するとみられる。20日にバイデン新大統領が就任して追加の経済対策はの期待感やドル安傾向の継続により原油相場は崩れにくい展開が続いている。ただ、米国の株価3指標は最高値を更新しているが原油市場は上げ疲れの様子がみられる。バイデン政権はパリ協定に復帰を表明、イラン核合意にも復帰に前向きとみられ原油市場には警戒感が感じられるのも事実だ。目先はバイデン政権へのお祝いムードが一服して株価指数の調整局面がくればWTIで一時的に50ドルを割り込むことも想定して取引に臨みたい。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。