週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比0.08ドル安の40.36ドル、ブレント原油は同0.39ドル安の42.22ドルとなった。

 前週末16日は小幅に値下がりした。欧州の新型コロナウィルス感染者数が拡大していることが上値を抑えた。

 先週も前週と同様のレンジ相場となったが、やや取引レンジを落としての推移となった。週初め19日は小幅下落となった。OPECプラスの会合では真新しいコメントはないが1月以降の減産縮小が場合によっては撤回される可能性が示されたものの、目先リビアが増産体制をとり、世界的なコロナ感染者数拡大による石油需要減少懸念が上値を抑える格好となった。翌20日は反発した。米国民主党ペロシ下院議長がホワイトハウスとの景気対策協議が進展していると述べたことで期待から上昇した。翌21日は大幅に下落した。欧州のコロナ感染者数拡大が深刻さを増したことやEIA統計で原油在庫は減少したもののガソリン在庫が予想外に増加したことが嫌気された。翌22日は反発、再び米経済対策への期待が高まったほかロシアのプーチン大統領が来年1月からの増産見送りを示唆したことも支援した。

原油チャート

 ドル安による他商品の上昇の傍ら、欧州のコロナ感染者数拡大などの弱材料に圧迫されさえない動きとなった。現状レンジ相場を続けているが、なだらかに上値を切り下げ底を打ったとは言い切れない状況だろう。欧州のロックダウンなど目先懸念材料が大きく、ワクチンの開発承認においても遅れているとの印象を禁じ得ない。OPECが増産を見送りを示唆するのは需要拡大が当初見通しより遅れているからに他ならないからだろう。目先のレンジ内の推移か目先上昇トレンド復帰よりは下振れリスクのほうがややリスクが高いように思われる。下落局面では段階的にロング構築も妙味があるかもしれないが、直近の値幅が小さい分荒れる可能性もあるので注意したい。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。